菜根譚(さいこんたん)

向山先生のご著書に出てくる本である。娘の恵理子さんに紹介したことで有名な本でもある。何度も読むように言われていたので、春休み中にも読んでみた。道徳の教科化に向けての動きが加速されつつあるときの、必読書である。

 作者は中国に洪自誠。中国の明の時代に書かれた随筆集である。日本に伝えられたのは、江戸中期以降になる。
 思いつくままに書かれた随筆集であるので、難しくはない。同じような内容も繰り返し出てくる。
 問題は日本でずっと愛読されたきた要因である。どこか日本人の心情に強く訴えるところがあるのだろう。これを分析しないといけない。
 向山先生が卒業生のために書いた寄せ書きの文「長い人生、ときにはいいかげんにすることも大切
 この本のキーワードは「いいかげんに」「ほどほどに」であると思った。
なんだよ」につながるところがある。
 解説者は言う。「我々日本人が、『菜根譚』を読んで感銘を受けるのは「閉塞した時代に生きねばならなかった1人の知識人の清冽な倫理観である」と。
 「人の誤りを責めるには、過ちの中にひそんでいる正しい面を見出しつつ、教えねばならない」(前集221)
 「人となるには1点の素心(純粋な心)を存するを要す」
 (前集15)

 TOSS道徳は、「生き方の原則」を学ばせるものである。
 向山氏が歴史上のどういった人物や書物から影響を受けているのかを追究していくのは楽しい作業である。

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