子どものまちがいには必ず意味がある
教育実習生の授業を見せてもらった。算数「形を調べよう(長方形と正方形)」の体言の導入部分である。
メインの活動は直角について知ること、直角を使って教科書にある形(啓林館 下2、3ページ)に直角があるかどうかを知ることで教科書にある(い)の形が直角三角形である。「(い)に直角はいくつありますか。」とたずねたとき、子どもたちの意見が分かれた。
1つ・・・多数
2つ・・・0人
3つ・・・6人
1つの子を指名し、黒板に貼り付けている大きな図形でどこが直角であるかを押させさせた。それを教師が反復した。次に、3つと答えた子にわけを言わせようとした。しかし、6人の子は黙り込んでしまった。
1つの意見を聞いて、自分の考えを言いにくくなったのである。この場合、進め方が反対である。まず、人数の少ないほうに言わせるとよかった。
また、教師が全て説明して進めるのではなく、もっと、子どもに意見を言わさないといけない。グループで話し合わせるのもいい。
次に(う)に形。四角形であるが、直角は1つしかない。子どもたちに「直角はいくつありますか」とたずねたところ、なんと意見が分かれた。
1つ・・22人
2つ・・ 6人
教師はここで、1つが正解であることを言って、どこであるかを説明した。2つと考えた子の意見は取り上げられなかった。
しかし、子どもの間違えには必ず、理由がある。教師が思いつかないような理由であることも多い。
この場合、四角形の4つの角の大きさは次のようになっていた。直角・・2つ 鋭角・・2つ 鈍角・・・1つ
折り紙で作った「直角定規」で調べさせると、頂点こそ、重ね合わせることができるが、角を構成する変をきちんと重ね合わせることが困難になる。紙で隠れて見えにくくなる。
だから、子どもたちは直角であるかどうか、きちんと判定できなかったのである。
(う)の図形で2回目にたずねたとき、さらに意見が分かれた。直角の数と人数。
0・・・3人
1・・17人
2・・・5人
3・・・3人
1つ以外は間違いである。しかし、子どもたちは適当に答えているわけではない。必ず根拠があるはずである。これを知ろうとすることが重要である。それを知ることは今後の自分の教材研究をより深く、より子どもよりの視点でみることができることを意味する。
無理に1つの正解に持っていくのではなく、逆転現象を仕組むとか、教師がわざと間違えるなどいろいろなやり方がある。実習生には難しいかもしれないが・・・・。