視力がいいのに、前の席にして欲しいと言う子
こんな子がいる。しかも8人もいる。
理由は「見えにくい」というのである。視力検査の結果を見直してみると、6人は0.7以上である。段階でいうと、Bになる。そのうち、2人は1.0以上が見える。
視力検査で分かる視力と、実際に見えているかどうかは異なると言うのである。
視力検査は、静止状態、片目ずつ、遠いところ(5メートル離れたところ)の見え方を測定する。ところが、実際の教室での見えるかどうかは、動いている状況、両目である。教科書やノートを見るときは、近くを見ることになる。視力検査の状況とは大きく異なる。
よく注意してみると、次のような子がいる。音読の時である。
(1)音読で1文ずつ読ませているときに、どこを読んでいるのか分からなくなる。自分で読むときに、どこを読んでいるのか分からなくなり、異常に速く読み終える。
(2)読むのは時間がかかる。
(3)読んでいるときに、頭や体を大きく動かしている。
眼球がスムーズに動いていない、目線を行にそって正しく追うことができないなどが理由であると言われている。
更に、次のような子も目につく。
(1)黒板の字をノートに写すのに、時間がかかる。
(2)黒板の字を写すときに、間違いや誤字、脱字が多い。
(3)学習のあと、よく頭痛や疲れを訴える。
こういった子は、焦点合わせに問題がある。こういった子にとって、黒板からノート、ノートから黒板に視線を移すのは
つらい作業であると言われる。
次のような子もいる。
(1)机に向かう姿勢が悪い。長い時間座っていることができず、椅子の上にシューズで上がる。
(2)教科書やノートに顔を近づけすぎている。
(3)文字がぼやけたり、二重に見えたりすると言う。
こういった子は両眼のチームワークが悪いとされている。視力検査では測定できない。見るのにエネルギーを使うので、疲れやすくなる。
この、「眼球運動」「焦点合わせ」「両眼のチームワーク」の3つを目の運動機能と呼ぶ。
いくら視力がよくても、目の運動機能が十分、発達していないと見えにくいはずである。
前の席にして欲しいと訴える子。もう一度、こういった視点から捉え直してみたい。