「挙手ー指名」のパターンからの脱却

以前、若い先生の授業を見せてもらったときに、あることに気付きました。子どもたちにすぐに答えられそうなことでも、いちいち挙手させていたことです。

算数の授業の導入場面です。
「この前のおさらいをします。」と言って、黒板に長方形を貼り、「かどを何といいますか。」とたずねました。さっと手を挙げたのは4人です。ここで、教師は手を挙げさせたまま、しばらく待っていました。「手を挙げていない子は誰かな。」と言っていました。ほとんどの子が手を挙げたのを見てから、1人を指名して言わせました。次に、「この形の名前は何ですか。」とたずねました。手を挙げている子をそのままにして、「(手を挙げたのは)まだ、半分ですね。」と言いました。これで手を挙げた子が少し増えました。
その後、同じように1人を指名して言わせました。
この場合、手は挙がったけど、教師が予想していた数よりは少なかったのでしょう。教師には、「(簡単な問いなので)もっと分かるはずだ。」という思いがあったのかもしれません。そこで、多くの子が(あるいは全員が)手を挙げるまで)待とうとします。このとき、教室内を見渡してみると、早く挙手した子は手を挙げたままになっている子がいます。手がだるそうです。

それでも、ほとんどの子は手を挙げたまま我慢しています。中に、手を下ろす子もいます。手を挙げていない子の中には、しぶしぶと挙げる子もいます、全然違うことをしている子もいます。分かり切ったことなので無視して手遊びをしている子もいます
こういったことが繰り返され、本時の学習内容を扱った授業が始まるまでにかなりの時間がかかりました。こういったことをしているうちに教室内がだんだんざわついてきました。

何が原因でしょうか。

手を挙げさせた後、指名するまで「間延び」したこと

だと思います。これで授業のリズムテンポが悪くなりました。特に、授業の最初の場面でこういったことがあると、授業全体が壊れてくることがあります。
分かり切ったことをいちいち挙手させて言わせなくてもいいと思います。誰かを意図的に当てたり、教師がさっと言っていいのです。機械的に(例えば、列ごとに)言わせていったらいいのです。

私なら次のようにします。
問題を出したあと、「全員経ちます。言える人から座りなさい。」と言います。そして、座った子の1人を指名します。すぐに終わります。分かり切ったことは「発問―意図的な指名」のパターンにしたらいいのです。

はじめのうちは、よく挙手をしていた子が、そのうち、あまりしなくなります。こういった現象に出合うことが多くなります。手を挙げても当ててもらえる確率が少ないからです。分かりきったことを答えるのに、いちいち挙手するのはめんどくさいからです。
子どもたちはこのように思い、手を挙げなくなっていきます。
それでも、先生の中には「いつも挙手―指名」というパターンから離れようとしない人がいます。ません。子どもたちの心理が分からずに、次のような言葉を投げかける先生もいます。
「まだ、手を挙げていない人が多い!」
子どもたちは挙げたくないのに、しぶしぶ手を挙げます。授業は重苦しいものになっていきます。
名前を言って意図的に言わせる、出席番号で当てる、列ごとに言わせるなどいろいろなやり方がある。すぐに答えられるような場合はこういった方法でさっと言わせたらいいのです。

ここまでに出てきた問題は、「発問―意図的な指名」というパターンも入れることでほとんど解消するように思えます。

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