シャーペンの弊害 シャーペンは小学生には向いていない

学年が上がるにつれて、シャーペンを使いたがる子が増えてきます。学校では使っていなくても、家庭ではかなり使っているようです。

子どもたちや保護者に、「どうして、シャーペンを使ってはいけないのですか?」とたずねられることがあります。そういったときに、明確に答えないと理解していただけないことがあります。

以下、子どもの成長と集中という点から、考えてみました。

1 シャーペンと鉛筆を使った場合の先を比べてみると一目瞭然

実際教室でシャーペンを使わせたことがない先生が大部分だと思います。(こっそりと使っている子はいますが・・・)では、なぜ小学生に向かないでしょうか。それを言わないと納得しない子もいます。

以前に、子どもに休み時間協力してもらってシャーペンと鉛筆の比較をしてみたことがあります。子どもの視写をビデオで撮って、じーっと子どもの鉛筆・シャーペンの先だけを見てみました。見ていると、一目瞭然でした。

(1)シャーペンは芯を出せる長さが決まっているので、しばらく書いているとすぐに芯の長さを気にしなければならなくなります。意識がプツプツと消える感じです。


(2)腕の動きが特に鉛筆とシャーペンでは違っていました。鉛筆はほとんど上下運動がありません。鉛筆の芯の先は紙に張り付いたまます~~っと流れていきます。反対にシャーペンでは芯の長さを気にするので一文字一文字紙から芯が離れていきます。

私はこれまで、芯が折れたり、芯を出したりするときだけ意識が学習から離れると思っていました。しかし、実態は違っていて、一文字一文字意識が学習から離れていくのです。正確には学習ではなく、芯の先に常に意識が行っているとも思えるほどでした。

これでどうして、鉛筆の方が、シャーペンよりもいいのかをはっきりと子どもや保護者に説明できます。(もし、機会があれば子どもに協力してもらって、ビデオに撮ってみることもお薦めします。)

次の本があります。

頭を鍛える手指訓練法 手は脳の開発機  ヘルスブックス 佐藤敦彦

小指球と脳の関係、ペンフィールドの脳内マップなどが書かれています。

2 「趣意説明」をしっかりとすることが大切

先週,授業中に,一人の子がシャープペンシルを使っていました。
隣の子が,「シャープペンを使ったらいけないんだよ」と声をかけると,その子は,「どうして,シャープペンを使ったらダメなの?」とたずねました。
二人のやりとりが聞こえたので,全員に,持っている物を置かせて,次のような話をしました。

文字を書くときには,力を入れないと,正しい文字を書くことができません。シャープペンシルを使って,力を入れて書くと,どうなりますか。


「芯が折れてしまう」


「そうだよね。シャープペンシルの芯はものすごく細いから,力を入れて書くと,すぐに折れてしまいます。シャープペンシルを使うと,正しい文字の書き方ができないということになります。
小学校は,学習の基礎を身につけるところです。みんなが,そういう学習の基礎をしっかりと身につけられるように,小学校では,1年生から6年生まで,シャープペンシルではなく鉛筆を使うようにしています。K君のおうちが最近新しく家を建てたけど,大工さんは柱を立てる前に,ちゃんと基礎の工事をしていたよね。」


「はい」(K君)


「基礎工事をしっかりとしないで柱を立てると,どうなると思いますか。」


「家が倒れてしまう」


「そうだよね。せっかく新しい家を建てても,基礎工事をしっかりとしていないと,家は倒れてしまいます。お勉強も一緒です。学習の基礎をしっかりと身につけないと,中学生・高校生になってから困ることになります。 だから,鉛筆を使います。」

「文字を書くときは,シャープペンシルではなく,鉛筆を使う」
「直線を引くときには,定規を使う」
「数字を書くときには,最後をしっかりと止める」
などのような指導をするときに,

「趣意説明」をしっかりと行う。

ことによって,子どもたちは, 「なぜそうしないといけないのか」をきちんと理解した上で活動するようになっていくのです。

ただ「~しなさい」「~はいけません」というだけでは、納得しないまま終わってしまいます。

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